「ストレートに甘えられない」
どんな難しい状況下でも、何とか自己解決し
あまり人に頼らない。頼る習慣がない。
けれど人に甘えられないことから
本当はこころが疲れている方へ。
「頼れない」背景に迫りながら
自分自身を癒していくためのお話です。
「人の手を煩わせたくない」
「相手に申し訳ないから」
それは以前、甘えられない方が
話してくれた内容でした。
人の手を煩わさず、極力自己解決する方は
周囲にとっては助かる存在でしょうし
他者に配慮できる姿勢は
人生では確実にプラスに働きます。
ですが人の助けに身を委ねられず
甘えを表現できない背景には
「他者から手渡されるもの」と
「自分」とを繋ぐ
パイプのような意識が弱い。
そのパイプに何らかの
根詰まりが生じているのかもしれません。
他者から手渡されるもの、といえば
昔「手渡される紙」を頼りに
宝探しをする遊びをしていました。
一人の子が、数枚の紙に指示を書いて
家の中に隠す。そして他の子は
その隠された紙=指示書を探していきます。
たとえば最初は
「テレビの周辺を探せ」と、書かれた指示書がある。
そしてテレビの近くに行くと今度は
「洗濯機を探せ」と、新たな指示書を見つける。
それを繰り返して最後には
宝、お菓子を見つけるのです。
思えば人生も、このゲームと
似たところがあるように思います。
自分の力だけでは、宝を探せない私たちは
他者から手渡される「指示の紙」
助言だったり教訓を
それとなく受け取り、生きていく。
「誰かから偶然聞いた話が
その時の自分にとっては、必要な情報だった」
等の話も、そのうちの1つでしょう。
けれど仮に他者から手渡される紙の中に
「ビターな紙」があったら?
「よくもまぁ
その程度のことで人に甘えられるね」
などのビターな紙を受けとったなら、それ以降
「もう傷付けられまい」と
極力人の手を避け、自力で解決する力を
つけようとする方もいるでしょう。
私たちは痛い目に遭えばその分だけ
手放しで人を信頼する力や
他者から「手渡されるもの」を受けとる力は
弱まっていきます。
けれど他の人からしたら
「どんな事情があるにせよ、必要な時は
素直に甘え、手を伸ばして欲しい」と
思うことでしょう。
その意見は正論なのですが
「甘えられない人」にとって実際は
なんの意味ももたない場合があります。
というのも、甘えられない人にとっては
救いを求めようにも、他者に伸ばす「手」を
喪失している場合があるからです。
「手が伸ばせないなら足を
全身のどこを使ってでも、支えを求めればいい」
ですが甘えられない人はその度
足が、全身が消えていき
他者に架かるはずの「橋」を
喪失していることに気づきます。
人に架かるはずの「橋」が見当たらないのは
「自分を支えてくれるものなんてない」と
いつの間に、こころに根付いてしまった
信念のせいかもしれないし
一人で全ての矢面に立ち
生きなければならなかった。
厳しい環境下で鍛えられた忍耐力から
人に甘える選択肢を
自分のものにしきれないのかもしれません。
決して一人では生きていけないはずの
この世界に身一つで立ち向かい
他者に伸ばしたいはずの「橋」が一体
どこにあるのかもわからない。
皆に負担をかけたくないからと
時に過度な重荷を背負い
その重さに麻痺しながらも
周囲に優しく微笑み、言います。
「いいんです。自分でやれますから。
だから私のことは、どうぞ気にしないで下さい」
人に甘えられない方の深層心理には
他者には容易に理解できない
根深い思いが隠されています。
「人の手を信じていい」
甘えられない人が、その概念を全身で信じ
生きられるまでは、時間も力も必要です。
そしてその過程では、橋の架からない場所で一人
懸命に生きるしかなかった無念や
支えを受けとる「手」を喪失していた悲しみを
自覚する必要もあるでしょう。
誰かが完璧に依存させてくれて
安らぎと幸福感で満たしてくれる。
そんなユートピア的生活に浸り続けない限り
甘える力が弱くなるのは必然です。
また他人に甘えるにしても、その甘えが打算や
責任能力の欠如からくるものなら
結局は人生に影を落とします。
甘えるのが苦手で、困難を覚える方はこれから
「甘えられない」その習性をどうしたいのか。
自分なりのビジョンを描いてみて下さい。
甘える/甘えさせてあげるバランスに
対等性があるはずです
周囲とどんな関係性を築きたいのか
意図を持ちましょう。
また何でもこなせる能力をあえて
封印することも大切です
何かを背負う限界値が、人より高いことを自覚し
自分がすべきことと、周囲がすべきことを
厳しく見極める力もつけましょう。
相手に迷惑をかけないようにする配慮も
相手に甘える自分を肯定することも
等しく大切です。
一人でも生きていける力を
身につけてきた自分を誇りながらも
全てを一身に引き受けてきた
無言の悲しみも労ってください。
人様に迷惑をかけまいと
立ち向かった先は向かい風で。
そんな割りに合わない目に合う
私たちの格闘に「手渡される紙」を思います。
タンスの下に、紙がある
疲れたろう、少し休め
テーブル周辺を探せ
テーブル周辺に、紙がある。
国だって相当テキトーだよ
たまにはテキトーでいいさ
キッチンの引き出しを開けろ
キッチンの引き出しに、紙がある。
もう十分だったよ
人の手をとっていい
最後に、オンラインコース
私たちの無自覚の習性が
人間関係の困難を引き起こします。
「甘えたい」と願いながらもその意識下に
「甘えたら怒られる、誰も助けてくれない」など
強い意識が隠れているのなら
現実に反映されるのは、それらの思いです。
オンライン・カウンセリングコースでは普段
手付かずになっている、こころの内側を見つめ
隠されていた思いや、感情に気づきながら
自分の内面を調和させる道を探っていきます。
同じループをくり返すのではなく
自分自身に新しい風を吹き込みたい方は
オンラインコースをどうぞ
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