「鬼滅の刃」を読んだ
こんにちは。Ricorissの、Ricoです。
みなさん「鬼滅の刃」を知っていますか?
吾峠呼世晴
累計発行部数、1億部。驚異的な売り上げで
社会現象と言われている漫画です。
この作品の何が人のこころに触れているかに
興味を持ち、作品を読んでみましたが
今回は「鬼滅の刃」から
失ってもあり続けるもののお話です。
舞台は大正時代
※以下、ネタバレあり
主人公の少年は鬼によって、家族を殺され
かろうじて生き残った妹も
鬼にされてしまいます。
妹を人間に戻すため
主人公は鬼を滅する剣士となりますが
この作品に出てくる「鬼」は
生まれつきの鬼ではなく
「元は人間だった」点が物語の要となっています。
鬼は人間だった頃の記憶を失っているのですが
中には人間時代、無情の過去の末に
鬼となった者もいます。
一方、鬼を滅する剣士たちは
その多くが鬼によって、近親者を殺されており
もはや剣士の方が、鬼になってもおかしくない程
むごい過去を背負いながら戦っています。
「鬼が人を喰う悲劇」を断ち切ろうと
戦う剣士たち。
鬼の中には人間の頃から
闇に囚われていた者もいますが
鬼も人も無情の淵を歩き、傷ついてきた者同士で
その戦いは常に
背中合わせであることがわかります。
死の際にあぶり出されるもの
鬼は太陽光を浴びるか
剣士たちの「太陽の日を宿す刀」で
首を斬られると死ぬのですが
鬼は滅する瞬間
「自分はなぜ鬼になったのか」
人であった頃の記憶を、思い出してから死にます。
こころの世界や、精神的な世界越しに
クライアントさんたちを見ていると
時折その方が持つ「命題のようなもの」を
感じとる瞬間があります。
命題と言われても、日常生活の苦悩や
忙しさに追われる私たちは
自分のそれがなんであるかを
意識することは滅多にありません。
けれども私たちの人生には
幾重もの過去をつらぬきながら走る
一筋の「日の光」のようなものがある。
それを「命題」というのか
「使命」と呼ぶのかは分かりません。
ですが人間がこの世界で生きる以上
太陽の日から逃れられないように
私たちそれぞれの日の光、命題は
私たちの人生をつらぬき
与えられた命の課題を生きるよう
道を与えているように思います。
そして「鬼滅の刃」で描かれる鬼は
人として持っていた命題、「日」を
忘れてしまった者なのかもしれません。
闇に堕ちて鬼となり、けれど最後は
「思い出せ」とばかりに
「日」を宿す刀を、振り落とされる。
その瞬間、必死に「日」とともに
もがきながらも生きていた
人間であった頃の自分を思い出し
灰となって消えていく。
この物語は、全てが砕け散る場面から始まります。
主人公は家族を奪われ、日常が暗転してしまう。
砕かれた破片を握るしかできない、その手は非力で
その破片の鋭さに、切り裂かれた者は鬼となる。
人でありながらこころの内に修羅を抱え
内面に宿していた光を
喪失するかのように戦う剣士もいる中で
異彩を放つのが主人公です。
太陽が分け隔てなく、全ての生命を照らすように
この少年は灰となって消えゆく鬼に
自らの内にある光を
慈悲を注ぐことができます。
この物語には「人の生きる地上世界」と
その地を離れた者が行く「あの世」の
2つの世界が交錯しています。
多くの者が戦いで散っていく
この話の舞台が地上世界のみなら
この話ほど救いのないものはないでしょう。
けれど「日」は、この世とあの世
2つの世界をつらぬき、紡がれていきます。
「失っても、失っても
生きていくしかないんです」
先の見えない世界状況だからこそ
主人公の言葉が迫ってくる「鬼滅の刃」は
失い、滅せられ
手に残ったものが無残な破片でも
日の元へ
日の元へと還ろうとする、いのちの衝動が
身を斬られるような切なさで、描かれています。
最後に、オンラインコース
人がそれまで生きてきた自分や、人間関係。
生き方を転換しようとする時
刃が振り落とされるほどの戦いは
避けられないとも思います。
悲しみや苦痛や痛みは、意識の光を当てることで
その姿形を変えていきます。
自分自身を、こころの奥に溜め込んできた思いを
見つめ直したい時期にいる方は
少し立ち止まって、自分と生き方を見つめる
オンライン・カウンセリングコースをどうぞ
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