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真実を生きられない悲しみ。チェンソーマン映画の感想

みなさん、世界興行収入200億円を突破した
チェンソーマンの映画を知っていますか?

 
今回はそんなチェンソーマンの映画の感想です。
 
※以下、ストーリーのネタバレがあります
 
 

チェンソーマンとは

胸にスターターロープと言われる紐がついていて
紐を引っ張ると、人体にチェンソーが装備され
チェンソーの悪魔になります。
 

 
主人公の男、16歳のデンジはそんな
チェンソーマンとしての力を宿しながら
害ある悪魔を狩る、公安課に属しています。
 
 

雨の日の出会い

ある日、デンジが降り出した雨を避けようと
公衆電話ボックスに入ると
同じく雨を避けようと電話ボックスに入ってきた
少女、レゼに出会います。
 
そこでデンジは手品のように、口に含んでいた
ガーベラの花を一輪、レゼに見せます。
 

その花はデンジが
悪魔によって被害を受けた人々への募金をした際
お礼として差し出されたものでした。
 
 
ガーベラに驚くレゼ。2人は束の間の会話を楽しみ
レゼは自分が働くカフェにくるよう
デンジを誘うのでした。
 
デンジには憧れを抱く女性が別にいるのですが
彼女への思慕はおいておいて、レゼに会いに
誘われたカフェへと赴くのでした。
 
そこで話すたびに
くったくのない笑みをくれるレゼに
デンジは惹かれていきます。
 
 

学校に行っていないデンジ

そんなデンジの境遇を知ったレゼは
デンジに同情し
夜の学校に忍び込むことを提案します。
 

 
訪れた夜の学校で楽しむ2人。
そこでレゼは
「田舎のネズミと都会のネズミの話」をします。
 
 
田舎のネズミはごちそうにありつけなくても
安心な生活ができ
 
都会のネズミはごちそうにありつけても
人や猫に捕まる可能性が高い。
 
レゼは「自分は平穏な田舎のネズミがいい」
と言うのでした。
 
 
イソップの寓話であるこのネズミの話は
レゼという少女の隠喩メタファーとして、物語で語られるのでした。
 

 
2人は学校で夜のプールにも入り、
デンジのレゼへの思いは募るばかりでした。
 
また夏祭りに行く2人の様子は
幸せの絶頂のように、色彩豊かに描かれます。
 
 

けれどすべてが嘘だった

夏祭りの日、レゼは正体を現し、彼女は
爆弾の悪魔で、デンジの心臓を狙う組織に
属していることが明らかになります。
 
そこからのアクションシーンは
洗濯機のドラム缶に入れられ、脱水されたように
めまぐるしく、ハードなアクションが続きます。
 
その一方で、戦闘によって巻き添えとなり
亡くなっていく人々を描くことを
忘れてはいません。
 
 
最終的にデンジはレゼと自分とをワイヤーで
ぐるぐる巻きにし、深海へと落ちていきます。

2人は雨の日に出会い、
強い雨がたたきつける、夜の学校に忍び込み
プールに入り、最後は海が2人を包み込みます。
 
そこに戦闘はなく
自分を殺そうとしたレゼであろうが
全てを受け入れたデンジは無為のまま
 
レゼという少女と共に
深い海に沈むことを選ぶのでした。
 
 

一緒に逃げよう

浜辺で目を覚ましたレゼに、デンジは
「一緒に逃げよう」と伝えますが
 
レゼは「自分は多くの人を殺した」
「一緒に逃げるというのはそんな自分に
加担するも同じ」
と言い
 
今迄のことは全て演技であり、デンジへの
感情は持っていないと伝えます。
 
 
そうしてその場を立ち去るレゼに、デンジは
「レゼが働くカフェで待っている」と伝えるのでした。
 

 
その後、「田舎のネズミになりたい」
そう願っていたレゼは、その夢をかなえるべくか
駅のホームに立ち尽くしていました。
 
彼女の手には一輪のガーベラが握られています。
 
その花は悪魔被害にあった人々への募金をした際
受けとった花であり、昔デンジが手品のように
口から出した花でした。
 
 
私たちは矛盾した存在で、多くの命を奪った
張本人でありながらも、悪魔被害の募金をしたり
 
ただのターゲットでしかなかったデンジの
「一緒に逃げよう」の言葉が
頭から離れなかったりします。
 
 
様々な矛盾がレゼの内に生まれた時、
彼女はデンジが待つカフェへと
向かうことを選びます。
 
 
都会のネズミとして生きてきたレゼ。
どれだけ豪華な食事にありつけても
都会は危険がいっぱいで、たまらない。
 
 
レゼの最後は
デンジの待つカフェに辿りつくことなく
ネズミのように、自分よりも強い捕食者によって
狩られる結末でした。
 
 
「デンジをもっと早く殺しておけば──」
 
「そうすればこんな捕らわれのネズミのように
死ぬことはなかったのに──」
 
「でもデンジと一緒に逃げられたら、
田舎のネズミになれたなら──」

 
 
たくさんのifもしもが少女からあふれ
そうして散っていく。
 
それは夏祭りで観た花火のようにも、
少しずつ散っていくガーベラの
花のようにも見えます。
 

 
 
レゼ── 組織の一員なら
その名前さえ、偽名な可能性が高く
彼女の正体を知る者は誰もいません。
 
戦闘中、爆弾と共に優雅に舞うような
アクションを見せた彼女ですが、
本心は都会で荒れ狂うのではなく
田舎で細々と生きていたかった。
 
気がつくと、ずっと騙され続けたデンジより
レゼに対する同情心が
観客に芽生えてくるようです。
 
 
映画のエンディングの中に、
ため息がもれる瞬間があるのですが
都会のネズミとして生きてきた
レゼのため息のように聴こえました。
 
誰もが、声にならない真実をもって生きている──
 
その声は耳をこらしても聴こえず
誰の理解も及ばない。
 
 
「田舎のネズミがよかった」
生きたかった真実を選べなかった、レゼの悲しみは
 
形は違えど
私たちの内にもあるものだと思いました。
 
 
レゼ
身元不明
爆弾の悪魔
 
 
 

もやし
ため息の歌だね
ねぎ
いいよね

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Ricorissリコリスを主催する
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