Ricoriss リコリス

女性の「生きる」を創造する

苛酷な人生から自分を立て直せるのは、自らの悲しみの前に立てた時

みなさんは
苛酷な状況をくぐりぬけた経験はありますか?
 
 
精神を過度に圧迫される状況に直面すると
私たちはそこから逃げられない、
出口がないような絶望を感じることもあります。
 
今回はこころに残ったカウンセリングから
私たちがどう、苛酷な状況から
自分を立て直していくかのお話です。
 
 

「まずい、終わった ──」

 

英語でカウンセリングなんて
したことない

 
そう気づいたのは、ノリで参加した
海外のカウンセリング研修の会場でした。
 
 
ですが次の瞬間、研修の講師は
近くにいる人とペアになり
カウンセリングの練習をするよう促します。
 
 
内心、途方に暮れる自分とペアを組んだのは
陽気な海外の女性でした。
 
英語はお互い、第2外国語ではあるものの
滑らかな英語を話す彼女は
クライアント役を買ってでてくれました。
 

 
初めての、英語で行うカウンセリングに
 

いつもより
精妙な英語を話さなければ…

と思うほどに緊張し、途中からもはや
 
「とりあえず知ってる単語全部喋れ」的に
若干やけくそに英語を話したと思います。
 
 

もやし
なんて奴だよ
ねぎ
噛みつきな

 
けれど途中から、無理をしているのも辛くなり
英語のカウンセリングは実は初めてだと
正直にうちあけると
 
相手の女性はNo Problem!問題ないと笑いながら
こちらを励ましてくれる始末でした。
 
 
その後、練習を再開させるも、自分の気持ちは
完全にしょげていて、相手の女性に対する
申し訳なさでいっぱいでしたが
 
彼女も突然、意を決したように話し始めます。
 
 
「さっきあなた、カウンセリング中に
Mother Earth母なる大地“って言ったでしょう?
 
実はその言葉が、ずっと頭を離れなかったの」

 
 

「Mother Earth、母なる大地」

 
その言葉はたしかに
私が知ってる英単語を乱発していた際
偶然にも口にした言葉でした。
 

 
ずっと陽気に話していた練習相手の女性は
絶やさなかった笑みを、静けさの中にあずけた後
彼女の過去について話し始めました。
 
 
幼いころ、レストランに行ったこと
 
そこでテロに巻き込まれ
彼女の妹さんが目の前で亡くなったこと──
 
 
彼女はイスラエルの女性でした。
 
 
 
壮絶な話に一瞬
言葉を失った私を見逃さなかった彼女は
 
「大丈夫、どうか傷つかないで」と微笑みながらも
まっすぐに私の目を見て言います。
 
 
「だから私はあの時
自分のハートを木箱にいれ
鍵をかけたのよ」

 
 

ひどく傷ついた人は一見「普通」に見える

 

 
イスラエルの女性は、家庭を作り子供をもうけ
今は仕事もしていて、はたから見たら
「普通の人生」を送っているように見えましたが
 
彼女が直面した過去の出来事は
彼女から、Mother Earth母なる大地で生きていく力と信頼を
ずたずたに引き裂いたままでした。
 
 
どれだけ普通の生活をしていても
彼女のハートは、木箱に押し込められたままで
ずっと呼吸をしていなかった──
 
 
それは苛酷な状況下で、精神に強い衝撃をうけ
深く傷ついた方にも起きやすい状況です。
 
 
 
もうそれ以上
自分を脅かすものを感じなくていいように
 
木箱には厳重に鍵がかけられ、それ以降の
全ての現実を、実は木箱越しから眺めている──
 

 
けれども木箱に押し込められたハートは
自分が閉じ込められたことを決して忘れず
箱の内側を揺さぶり始め
 
その揺れは人生の中盤以降
特に激しくなることが多いです。
 
 
カウンセラーや他者がいくら、救い主のように
美辞麗句を並べても、木箱の前では
あらゆる言葉は煙のように消えていき
 
木箱に押し込められたものは
他者に安易に触れられることを拒否します。
 
 

紛争に、自然災害に

 
世界的に大きな出来事が続いたある日
 
あの海外のカウンセリング研修でもらった
「お土産」を思い出しました。
 
 
それはヘブライ文字が書かれた「木のコマ」で
研修に参加したイスラエルの人々が
参加者全員に配ったものでした。
 
 
「どうしてこんな状況が起きるのか──」
 
そう思いながら回したコマは
ある文字を上にして止まります。
 

 
それはヘブライ語の、הへー
「神」に関連する文字でした。
 
 
たしかにこんな風に
個人の力がまったく無力化されるような状況は
神のそれにも思えてきます。
 
 
 
苛酷な過去を抱えた、イスラエルの女性の前では
私は不安定な英語を話すだけの無力な存在でした。
 
 
けれどとにかく、知っている単語をふり絞れと
無力と微力の間をじたばたしていると
 
偶然口にしたMother Earth母なる大地という言葉が
イスラエルの女性の木箱にクリティカルヒットし
 
カウンセリングはお互い予測していなかった
こころの深い層に降りていきました。
 
 
でもそれは私の功績でもなんでもなく
人にはそれぞれ
「再生の時」があるのだと思います。
 

 
苦しい過去の、犠牲者でしかなかった人々が
ある時、木箱に閉じ込めたもの──
 
 
それは自らのハートだったり
人生へのやりきれない失望や
癒し方のわからなかった悲しみの前に立ち
 
「それでも自分は生きていけるのだ」
 
木箱に押し込めていたものに圧倒されず
意識を刷新していけるステージにいる時
 
 
私がたまたま放った、Mother Earth母なる大地のような
偶然の啓示的な言葉や状況が
 
神がかったタイミングで
それぞれの人に、もたらされるのだと思います。
 
 

 
「きっと私は
Mother Earth母なる大地“というものと
和解しなくちゃいけない時にいるんだと思う」

 
 
イスラエルの女性はあの時、Mother Earth母なる大地
ずっと抵抗していた自分を受け入れていける
「自らの木箱の前に立てる」段階にいました。
 
 
圧倒的な状況が、個人の人生を精神を
なぎ倒していくかのような世界を
私たちは生きていて
 
 
けれど、Mother Earth母なる大地を生きることは
それだけではない──
 
 
それだけではない美しさも清さも
この世界は内包しているのだと
 
個人がそれぞれの時を通じ、思い出せる瞬間が
私たちの救いにつながるようにも思います。
 
 
 
大きな破壊を生き抜いた
イスラエルの女性の凛とした微笑みが
今でも記憶の中で語りかけます。
 
 
「きっとMother Earth母なる大地に根付いていないと
私というみなもと
生きることはできないと思うの」

 
 
 

最後に

 
自分の木箱の前に立つ──
 
それがあらゆるカウンセリングの
ハイライトだと思います。
 

 
時間をかけ、徐々に木箱に行きつく方もいれば
 
人生であえて木箱には近づかず
沈黙をつらぬいた方がいい方もいます。
 
 
けれども木箱は、その扉をたたき続ける者には
人生でバラバラだったものを
1つにする力を与え返します。
 
 
今抱えている問題を通して
自分自身や、内側にひそんでいるかもしれない
自らの木箱と向き合いたい方は
 
約3か月をかけ、再生の芽を見つけていく
オンライン・カウンセリングコースをどうぞ。
 
 
今現在、うまくいっていないものや
硬直している状況をゆっくり紐解きながら
自分を立て直していくコースです

オンラインカウンセリング

 

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